
「幕末」とは―?
今からおよそ150年前、江戸時代の終わりから明治時代の始まりにかけてを舞台とする、日本の歴史が大きく動いた時代の名称です。「ペリー来航」、「尊王攘夷」、「新選組」、そして「薩長同盟」。誰もが一度は学校の授業などで目や耳にしたことがある、多くの革命的な出来事が起こった時代として、これまで小説や漫画、ゲーム、そして大河ドラマなどでも数々の大傑作が描かれ、多くのファンを魅了し圧倒的人気を誇っています。ただ、「幕末」という時代は超有名なのですが、『幕末を説明してください』と言われてもなかなか答えられない方は多いのではないでしょうか。様々な逸話や諸説を聞いた事はあっても、意外と知らない幕末のこと。そんな“みんなが知っているようで知らない幕末”を、コメディ界屈指のヒットメーカー:福田雄一監督が“福田流の解釈”で実写映画化。それが『新解釈・幕末伝』です。
福田流・幕末伝の主人公は、この時代を代表する2人。革命の志士・坂本龍馬を演じるのは、喜劇役者としても悲劇役者としても圧倒的存在感を放ち続ける俳優・ムロツヨシ。そして幕末の英雄・西郷隆盛を演じるのは、コメディもシリアスも多岐に渡るジャンルでの怪演が観る者全員の心を掴んで離さない俳優・佐藤二朗。まさに「役者」という言葉を体現し続け、これまで16年間に渡り福田コメディの歴史を共に歩んできた両雄:ムロツヨシと佐藤二朗が、初のダブル主演として、福田監督作品の記念すべき劇場公開映画20本目となる幕末コメディ超大作の旗を振ります。
ムロツヨシは、「人生がいいだしっぺで成り立ってるところは、今回の”新解釈”な龍馬に似ている」と気合も愛着も十分。一方、佐藤二朗は、脚本を読んで演技について福田監督に直談判。西郷隆盛のイメージを新解釈し、あえて“福田組の佐藤二朗イメージ”は封印し、本作に挑みました。
坂本龍馬と西郷隆盛はその知名度こそ高いものの、結局何を成し遂げた男だったのか? 果たして“ムロ”龍馬と西郷“二朗”は、幕末のヒーローとして新時代を創った英雄だったか?それとも、ただ時代という波にちゃっかり乗っかっただけなのか? 私たちは、間違いなく近代日本最大の転換期であった幕末を生きた2人の男たちから、激動の時代であるこの令和を生き抜くサバイブ術を学ぶことができるのか!?
これまで誰も想像し得なかった、<戦い>と<友情>の物語。
あの時、人に会えず、人と直接話せず、そんな時に決めたことがありました。
マスクを取って、やっと福田雄一とご飯を食べた時に伝えました。
「僕で一本つくってくれませんか?」
福田さんはすぐに答えてくれました。
「つくるよ」
そのあと、福田さんはこうも言いました。
「二朗さんと2人の主演でつくろう」
私も答えました。
「なんと素敵なカタチだ」
すぐに二朗さんに会いに行きました。
二朗さんの行きつけの居酒屋で2人きり。
真っ直ぐに伝えました。
「2人で福田組を背負わせてもらえませんか?」
二朗さんは丁寧に答えてくれました。
「2人で主演か。それならやろう」
今日ここでご報告できることを嬉しく思います。
いつもの福田組の表現を封印する決断をした二朗さんはとんでもなく格好良く。
いつもの福田組の表現を全面に出す決断をした私と。新しい2人のカタチができていく、撮影の日々。あの男も参戦してくれました。あの方もあの人も参戦。痺れる時間でした。
このキャスト、スタッフで福田組映画作品、記念すべき20作目。
あの時に決めたことを観てもらえる日が近づいてることに心から感謝です。
今回が福田監督の劇場公開映画20作目だそうです。
そして、僕が福田作品に関わってから、16年の歳月が過ぎたようです。驚きます。アッという間です。アッという間すぎて、「俺、なにも福田作品に貢献できてないんじゃないか」と不安になります。本当に。今まで数多の名優が数多の名作で演じた歴史に名を刻む大人物「西郷隆盛」を今回、演じます。それだけで震える思いですが、震えついでに更に震えようと思い、そして作品名の「新解釈」という部分にあやかって、この歴史に名を刻む大人物を、僕なりに「解釈」して演じました。震えます。もうムチャクチャ震えます。でも、震えながら揺れながら、これからも役者をやっていくのだと思います。
本作は僕にとって、そんな作品です。
福田組の風神雷神とか呼ばれてるムロくんと二朗さんですが、僕たち3人は決して馴れ合いの関係ではありません。普段、食事とかしないし、つか、二朗さんに至っては出会ってから今まで1度しかサシで食事したことないです。僕らは撮影の時にだけ会って、その時に、お互いのカードを見せ合う勝負をする関係です。ただ、ヨシヒコ以来、この2人とがっぷり四つで勝負してないなと感じる昨今でした。そろそろ貯めてきたカードをバチバチにぶつけ合いたいと思いました。結果、僕は、喜劇役者という人間の力をまざまざと見せつけられました。出会ってから、ずっと、この2人には「あー、福田、つまらなくなったな」って思われないように頑張ってきたし、2人も僕を笑わせようと勝負してきてくれたのだと思います。この作品はそれが結実した形です。
ま、通過点ですけど。